鼠小僧次郎吉

INTRODUCTION

日本映画の黎明期、サイレントからトーキー初期にかけて活躍し、その後若くして夭折した映画監督「山中貞雄」。彼が生前遺した「鼠小僧次郎吉-江戸の巻」を、『銀河鉄道999』『幻魔大戦』の日本が誇るアニメーション監督りんたろうがサイレントアニメーション化。この今までにないユニークな映像作品を支えるのは、キャラクターデザインに『童夢』『AKIRA』で世界にその名を轟かす大友克洋と『YAWARA!』『PLUTO』の兼森義則、音楽にサキソフォーン奏者であり作曲家として活躍する本多俊之、弁士役を『Dr.スランプ アラレちゃん』の則巻アラレ役の声優、小山茉美がつとめる。アニメーションの新しい挑戦、ここに誕生。

THEATER

「ユーロスペース」にて今冬ロードショー!

STORY

場面1
場面2
場面3
場面4
場面5
場面6
場面7
場面8
場面9
江戸八百八町が夜の闇に包まれると屋根裏でガサゴソとする奴が現れる。大富豪から富をいただき貧しい庶民にばら撒く義賊、ご存じ鼠小僧次郎吉。夫に先立たれ、小さな我が子と辛い日々を送る町人お鈴。そんなお鈴を利用して鼠小僧の正体を暴こうとする梵字安五郎と長五郎。罪を憎んで人を憎まず、経験と勘で補物名人と謳われる岡っ引き勘右衛門。
江戸の街を舞台に繰り広げられる哀愁を誘う人間ドラマ
映画監督山中貞雄はそんな夢をみている…。

COMMENT

監督コメント

[ ロング ロング アゴー ]
長い顎に無精髭、頭に手ぬぐいを巻き、薄っぺらな下駄履きという風貌でサイレントからトーキー時代の映画界を29歳という若さで駆け抜けて逝った映画監督・山中貞雄。その名前を知ったのは私が石ノ森章太郎『佐武と市捕物控』のTVアニメ作品を作っていたときだった。
初の時代劇アニメということでサイレント時代から活躍していた松田定次監督が監修としてアフレコに立ち会っていた。その松田氏から山中貞雄という監督の素晴らしさを聞かされたが作品を観る機会もないまま歳月が過ぎたころ、銀座の雑居ビルの地下にある並木座という名画座で山中貞雄監督作品『人情紙風船』に出会った。
全編観る者に重苦しく迫ってくる悲壮感が漂う映画だったが、その物語を象徴するような紙風船が淡い光を帯びながら路地のどぶ川をゆっくりと流れ去っていく儚いラストシーンに心揺さぶられたまま映画館を出たことを今でも覚えている。
その後VHSやDVDが出たことで『丹下左膳 百萬両の壺』『河内山宗俊』を観ることができた。『丹下左膳 百萬両の壺』の軽妙洒脱な現代的なタッチで簡潔にまとめ上げた手腕に脱帽し、『河内山宗俊』の微に入り細にわたった山中のモダンな絵作りと人物造形の巧みさにどっぷりハマってしまった。
一方ノートの隅っこにパラパラ漫画を描いたり戯画を描いたりしていた山中の一面を知ったとき、仲間内からロングロングアゴーと呼ばれた長い顎と無精髭の人間・山中貞雄が一層好きになりいまに至っている。
ここに企画した短編アニメは山中貞雄脚本の『鼠小僧次郎吉 江戸の巻』を基に私たちチームが捧げる映画監督・山中貞雄へのささやかなオマージュです。戦地で書き残した日誌に「人情紙風船が山中貞雄の遺作ではチトサビシイ」と記した山中さんに私たちの作品を届けることができればチト嬉しいのです。

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CAST&STAFF

キャスト

弁士:小山茉美


スタッフ

脚本:山中貞雄

監督・脚色:りんたろう

1941年1月22日東京都生まれ。1958年東映動画。その後、虫プロダクションへ移籍。日本初のテレビアニメ映画『鉄腕アトム』(1963)の演出を手掛け、『ジャングル大帝』(1965)ではチーフディレクターを務め、初期の日本のアニメーション文化の発展に重要な貢献を果たした。また、映画『銀河鉄道999』(1979年)や『幻魔大戦』(1983年)『メトロポリス』(2001年)を監督し、国内外で大きな成功を収めた。近年は『よなよなペンギン』(2009年)の制作を筆頭に、3Dアニメーションの知見を深めている。

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キャラクターデザイン:大友克洋/兼森義則

音楽:本多俊之

プロデューサー:
丸山正雄/真木太郎
Emmanuel-Alain RAYNAL /Pierre BAUSSARON

アニメーション制作:スタジオM2

製作:ジェンコ/Miyu Productions


日本・フランス合作/2023年/23分

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